こんな映画は見ちゃいけない!

ジョゼと虎と魚たち

ジョゼと虎と魚たち
寸評 池脇千鶴が素晴らしい。ひねくれた下町のオバハンが使うような大阪弁を完璧に話す様子は、大竹しのぶ並みの貫禄すら感じる。プライドが高く口が悪いが親しみを抱かせるヒロインを演じる池脇の存在感は、この作品では圧倒的だ。
ポイント ★★★★
DATE 04/1/6
THEATER シネクイント
監督 犬童一心
ナンバー 1
出演 妻夫木聡/池脇千鶴/上野樹里/新井浩文
批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

池脇千鶴が素晴らしい。ひねくれた下町のオバハンが使うような大阪弁を完璧に話す様子は、大竹しのぶ並みの貫禄すら感じる。彼女のひねた視線と態度は、長年世間から隔離されて生きてきた足の悪い女性の人生そのものだ。それでいてプライドは高く、他人に頭は下げない。本当は寂しいのに恋人に対して素直になれない。自分の世界をきちんと持っているが外の世界ともつながっていたい。そんな特別な生活環境に生きながらも、どこか親しみを抱かせる池脇の存在感はこの作品では圧倒的だ。

麻雀天でバイトする大学生・恒夫は足が悪くて歩けないジョゼという障害者と知り合う。ジョゼは祖母と二人暮しで、ジョゼの存在を恥じる祖母のせいで外出できるのは早朝だけ。そんな彼女は祖母の拾ってくる大量の本のおかげで物知りだ。恒夫はジョゼに惹かれ彼女の家に出入りするようになり、祖母の死後、2人は一緒に暮らし始める。

恒夫がジョゼを障害者という視点で見ていないのがいい。性格がきつく口も悪いけど、ちょっと気になる女。ジョゼの家に通ううちに彼女といる時間がとても楽しくなるという設定がとても自然だ。祖母の死後、2人は結ばれ、同棲を始め、一緒に車で旅をしたりする。そのあたりの恒夫のジョゼを受け入れる気持ちの軽さ、しかし時とともに重くなっていくことを知りながらも、それに気付かないフリをしてジョゼのワガママに付き合う恒夫の姿もりりしい。

そして、最後も「2人仲良く暮らしましたとさ」的な甘いエンディングにせず、恒夫が逃げる形で二人は別れる。やはり健常者にとって障害者を自分の生活の中に抱え込むことは想像以上に勇気がいる。勇気以上にエネルギーが必要だ。別れた後、恒夫が自責の年から泣き出すのに対し、ジョゼは淡々と電動車椅子を操る。恒夫にとってジョゼとのことは思い出になるだろうが、ジョゼにとっては恒夫がいなくなっても人生が続くのだ。出て行った男のことなどさっさと忘れて前を見据えるジョゼの姿はかっこいい。